こんにちは、尼崎市塚口のにしおか内科クリニックです。
胸の痛みの原因は心臓だけじゃない?呼吸器内科で診る胸の痛みとは
胸の痛みを感じると、多くの方は「心臓の病気では?」と不安に思うかもしれません。しかし実際には、胸の痛みの原因は心臓だけでなく、肺や気管支、胸膜、肋骨、筋肉、神経など、呼吸器に関わるさまざまな病気が隠れていることがあります。胸の痛みを感じたとき、自分の症状を冷静に見極め、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。ここでは、呼吸器内科で診る「胸の痛み」に焦点を当て、その原因や考えられる病気、適切な対処法について詳しく解説します。
胸の痛みとは?その仕組みを知ろう
胸の痛みは、肺や胸膜、気管支、肋骨、筋肉、神経など、胸部のさまざまな組織から生じます。たとえば、風邪やインフルエンザのあとに咳が長引くと、肋間筋という肋骨の間の筋肉が疲労して筋肉痛のような痛みが出ることがあります。このような痛みは、深呼吸や体を動かすと強くなる傾向があります。また、肺や胸膜に炎症が起こると、呼吸や咳によって痛みが悪化することがあります。こうした場合、単なる筋肉痛とは異なる性質の痛みが見られるため注意が必要です。
呼吸器内科で診断される胸痛の代表的な病気
胸の痛みを引き起こす呼吸器系の病気には、さまざまなものがあります。なかでも「肺炎」はよく見られる原因のひとつです。肺炎では、肺に細菌やウイルスが感染し炎症が起こります。発熱や咳、黄色や緑色の痰、息切れなどの症状に加えて、胸の痛みを伴うことがあり、深呼吸や咳をしたときに痛みが増すのが特徴です。症状が長引いたり悪化したりする場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
また、「胸膜炎」も胸の痛みの原因になります。胸膜は肺を包む薄い膜で、この膜に炎症が起こると、呼吸や咳をするたびに胸がチクチク、ズキズキと痛むようになります。胸膜炎は、風邪や肺炎などの感染症のあとに起こることがあり、放置すると症状が悪化する場合があるため、痛みが続くときは医療機関で診察を受けることが重要です。
さらに、「気胸」という病気も見逃せません。気胸とは、肺に小さな穴が開き、空気が漏れ出すことで肺がしぼんでしまう病気です。気胸になると、突然片側の胸に鋭い痛みが走り、息を吸うと痛みが強まります。特にやせ型の若い男性に多い傾向がありますが、誰にでも起こる可能性があり、重症の場合には緊急の治療が必要になることもあります。胸の痛みが急に強くなり、呼吸が苦しいと感じた場合には、速やかに医療機関を受診することが求められます。
もう一つ、命に関わる重大な病気として「肺血栓塞栓症」が挙げられます。肺血栓塞栓症は、足の静脈でできた血のかたまり(血栓)が血流に乗って肺の血管に詰まり、血流が妨げられることで発症します。この病気では、突然激しい胸の痛みや息切れ、呼吸困難が現れます。長時間の飛行機やバス移動、手術の後など血流が滞りやすい状況で起こりやすいとされます。放置すると命に関わる危険があるため、このような症状が出たときは、迷わず救急車を呼んで迅速に対応する必要があります。
痛みの性質や症状の組み合わせを見極めることが重要
胸の痛みの原因を正確に診断するためには、「どこが痛むのか」「どのように痛むのか」「いつから痛みがあるのか」「ほかにどんな症状があるのか」といった情報を整理することが大切です。医療機関では、こうした情報をもとに聴診やレントゲン、血液検査、CT検査などが行われ、原因の特定につながります。診察の際には、咳の有無や痰の色、発熱の有無、息切れの程度など、自分の症状を詳しく伝えることが、正確な診断と適切な治療につながります。
胸の痛みを感じたときの正しい対処法
胸の痛みを感じたとき、まずは無理をせず安静にすることが基本です。もし激しい痛みや呼吸困難、冷や汗、めまい、意識がもうろうとするような症状があれば、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。一方で、軽い痛みや咳に伴う痛みが続いている場合には、呼吸器内科を受診し、医師の診察を受けることが大切です。自己判断で市販の鎮痛薬を服用するのは控え、受診前に症状の経過をメモしておくと診察時に役立ちます。
日頃の健康管理と定期検診の重要性
胸の痛みの予防には、日頃からの健康管理が欠かせません。たとえば、禁煙を心がけること、感染症予防のためにワクチン接種を受けること、適度な運動やバランスの取れた食生活を続けることが、呼吸器の健康維持につながります。特に喫煙歴がある方や慢性的な咳が続いている方は、定期的に呼吸器内科での検診を受けることをおすすめします。肺の病気は初期には自覚症状が少ないことも多く、気づいたときには進行していることがあるため、早期の受診が健康を守る鍵となります。
胸の痛みを放置せず、適切な診断と治療を
胸の痛みは、「ただの筋肉痛」と軽く考えがちですが、重大な病気が隠れていることもあります。深呼吸や咳で痛みが強まる、痛みが長引く、痛みが強くなっていく、息苦しさを伴うといった症状があるときは、自己判断で放置せず、医療機関を受診することが大切です。呼吸器内科では、胸の痛みに関わるさまざまな病気の診断と治療を行っています。少しでも不安があれば、早めに専門医に相談し、適切な診断を受けることをおすすめします。胸の痛みの原因を知り、正しく対処することが、安心と健康への第一歩です。