2024年3月、大阪で麻疹(はしか)の感染者が確認され、それに伴い尼崎市の当院でも多くのご相談をいただいています。麻疹は、風邪に似た症状が現れた後、全身に発疹が出る病気です。発症前には約10日間の潜伏期間があり、その後38度前後の発熱や風邪症状、目の充血などが2〜3日続きます。一度熱が下がった後、再び39度の高熱が出て、発疹が顔から始まり、体や下半身へと広がっていきます。
麻疹の重篤なリスク
麻疹は非常に感染力が強く、1,000人に1人が死亡し、さらに感染から5〜10年後には10,000人に1人が重篤な脳炎を発症するリスクがあります。麻疹の感染力は驚異的で、新型コロナウイルスの約3倍、インフルエンザの約10倍とも言われています。もし免疫がない人が感染者と同じ空間にいると、10人中9人が感染するという非常に高い感染率です。また、1人が麻疹にかかると、その周囲の12〜18人に感染が広がると言われています。
麻疹は結核や水疱瘡のように空気感染をするため、手洗いやうがいでは感染を防ぐことができません。治療法もないため、唯一の予防策はワクチン接種です。
ワクチンの効果と重要性
麻疹ワクチンを2回接種することで、97%の感染予防効果が期待できます。一度感染すると、再び麻疹にかかることはほとんどありません。日本では2007年から2008年にかけて麻疹が流行しましたが、ワクチン接種の普及により、2010年11月以降、日本国内由来のウイルスは検出されていません。今回の感染も海外から持ち込まれたウイルスが原因です。
ワクチン接種の必要性について
「ワクチンを打つべきか?」という質問をよく受けますが、まず大前提として、2歳以上の95%の人は抗体を持っているため、感染するリスクは低いと言えます。しかし、1972年10月1日から2000年4月1日までに生まれた方で、これまで麻疹にかかったことがない場合、ワクチンを接種していても免疫が不十分な可能性があります。この世代の方は、内科や小児科に相談し、必要であれば再接種を検討することをお勧めします。
一方、1972年9月30日以前に生まれた方は、ほとんどが麻疹に自然感染していると考えられ、過度な心配は必要ありません。
おわりに
にしおか内科クリニック(尼崎市塚口)では、麻疹に関するご相談やワクチン接種についてのアドバイスを行っています。感染予防のために、ワクチン接種を検討される方はお気軽にご相談ください。麻疹は一度の感染で重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、早めの対策が大切です。