ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃の粘膜の中で生息する細菌です。強い酸性を示す胃酸の中でも生き延びることができ、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの病気と深く関わっていることが明らかになっています。
幼少期の(主に家族からの)口を介した感染が主な原因と言われています。
現在でも発展途上国での感染率が高く、国内でも50歳以上の方の感染率は8割を超えているとの報告があります。ピロリ菌は、検査によってその有無を確認することができます。感染が認められる場合には、ピロリ菌の除菌治療を受けることをお勧めします。
ピロリ菌の除菌は、内服薬を使用して行います。
※ピロリ菌除菌を行っても、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんが100%防げるわけではありません。ピロリ菌除菌後も、定期的に胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
ピロリ菌が引き起こす症状
ピロリ菌に感染しても、すぐに劇的な症状が現れることはありません。特に初期にはほとんど症状が見られず、症状から感染に気づくことは困難です。
その後、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がんなどを引き起こすリスクが上昇します。これらの病気になると、以下のような症状が現れるようになります。
- 胃のむかつき、不快感
- 胃の痛み、違和感
- 吐き気 など
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんのリスク
ピロリ菌に感染した場合、10~20%の割合で胃潰瘍、十二指腸潰瘍を発症すると言われています。また同様に、感染後数十年間で、3~5%の方が胃がんを発症すると言われています。
これらのリスクを、ピロリ菌除菌治療で低減させておくことが大切です。
検査方法 胃カメラ検査をメインに
ピロリ菌の感染を確認する検査には、胃カメラを使用するものと、使用しないものがあります。
すでに自覚症状がある方は、胃で何か他の病変が起きていないかを正確に確認するためも、胃カメラを使用した検査を選択されることをお勧めしております。
胃カメラを使用するピロリ菌検査
迅速ウレアーゼ検査
ピロリ菌が持つウレアーゼと呼ばれる酵素の、尿素に反応する性質を利用した検査です。迅速という名の通り、短時間での判定が可能です。
鏡検法
胃カメラで採取した胃の粘膜を染色し、顕微鏡によってピロリ菌を確認し、組織学的に評価して判断します。
培養法
検体を培養し、ピロリ菌の有無を確認します。
胃カメラを使用しないピロリ菌検査
抗体測定
血液、尿の中のピロリ菌に対する抗体の有無を調べ、判断します。
尿素呼気試験
検査用の薬の服用の前後で呼気を採取し、ピロリ菌が持つウレアーゼの作用によって作られる二酸化炭素の量を測定して判断します。
便中ピロリ菌抗原検出法
検便により、便からピロリ菌抗原の有無を調べ、判断します。
費用
費用の目安は、以下の表のとおりです。1割負担の方は、3割負担の場合の金額の3分の1を目安としてください。
検査名 | 費用(3割負担) | 費用(自費) | |
---|---|---|---|
胃カメラを使用する検査 | 迅速ウレアーゼ検査 | 612円 | 設定なし |
鏡検法 | 3,090円 | 設定なし | |
培養法 | 設定なし | ||
胃カメラを使用しない検査 | 抗体測定 | 705円 | |
尿素呼気試験 | 1,590円 | ||
便中ピロリ菌抗原検出法 | 882円 |
- 保険診療の場合、別途診察料が必要になります。
- 胃カメラを使用する検査の場合、別途内視鏡検査料、組織生検料が必要になります。
- 診療報酬の改定により、金額が変更となることがあります。
ピロリ菌が発見された場合
検査によりピロリ菌が確認された場合には、除菌治療をお勧めしております。
2種類の抗生剤、1種類の胃薬を1週間毎日服用します。服用後4週間以上開けて、除菌ができたかどうかを確認するための検査を行い、除菌ができてればそこで治療は終了です。
除菌ができていない場合には、お薬を替えて再度除菌治療(二次治療)を行います。
ピロリ菌除菌治療の保険適用の対象
ピロリ菌の除菌治療は、条件を満たせば健康保険が適用されます。
- 内視鏡検査か造影検査において、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断を受けた方
- 胃MALTリンパ腫の方
- 特発性血小板減少性紫斑病の方
- 早期胃がんに対する内視鏡的治療を受けた後の方
- 内視鏡検査において胃炎の確定診断を受けた方