お尻のかゆみは恥ずかしくて受診できないと我慢していませんか?
実は、お尻のかゆみの原因は単なる不潔ではなく、痔やカビ、日常の習慣など多岐にわたり、それぞれ治療法が全く異なります。
今回はお尻がかゆくなる原因と、「肛門科」と「皮膚科」のどちらを受診すべきか、正しい見分け方を分かりやすく解説します。
お尻が痒い原因
原因その1:お尻の病気「痔」によるかゆみ
「お尻のかゆみなのに痔が原因?」と驚かれるかもしれませんが、内痔核や切れ痔がかゆみの引き金になることは多いのです。
内痔核(いぼ痔)
肛門の内側にいぼができる「内痔核」は最も多い痔です。知覚神経がない部分にできるため痛みはほぼありませんが、排便時の出血やいぼの脱出(ぶら下がり感)で気づくのが特徴です。
内痔核が大きくなって脱出すると、粘膜からにじみ出る分泌物が周囲のデリケートな皮膚を刺激し、かゆみやただれを引き起こします。いぼにより排便後のふき取りが不十分になり、残った便がさらなる刺激になることもあります。
切れ痔(裂肛)
切れ痔は、便秘による硬い便や下痢の勢いで肛門の皮膚(肛門上皮)が裂ける状態です。知覚神経が通るため排便時に激しい痛みが走り、ペーパーに血が少量つきます。
治りかけの傷口がムズムズとかゆみを誘発するほか、硬い便で再び裂ける悪循環に入って慢性化すると、傷の周囲にできる皮膚のたるみ(見張りいぼ)や長引く炎症がしつこいかゆみの原因になります。
原因その2:お尻の「皮膚トラブル」と「カビ(真菌)」の感染
お尻の皮膚そのものに問題が生じているケースも非常に多く見られます。
洗いすぎ・拭きすぎによる「皮膚炎」
臨床的に最も頻繁に見られる原因が、過剰な「洗いすぎ」「拭きすぎ」です。温水洗浄便座を強い水圧で使用したり、石鹸でゴシゴシ洗ったり、ペーパーで強くこすったりすると、デリケートな皮膚のバリア機能や必要な皮脂が失われます。その結果、乾燥を招き、かゆみやヒリヒリ感が慢性化します。
お尻にカビが繁殖する「肛門カンジダ症」
カンジダは健康な人の皮膚にもいる常在菌(カビの一種)です。
高温多湿を好むため、下着の中が蒸れやすい時期に繁殖しやすく、肛門周囲全体が赤くただれ、激しいかゆみ、白い粉(鱗屑)や小さなプツプツ(膿疱)が生じるのが特徴です。
股間のカビトラブル「いんきんたむし(股部白癬)」
いんきんたむしは、足の水虫と同じ「白癬菌(カビの一種)」が股部に感染する病気です。
太ももの内側などこすれやすい部分に強いかゆみを伴う赤い発疹が現れ、輪を描くように辺縁が環状に赤く盛り上がり、内側は一見治っているように見えるのが特徴です。

お尻の痒みに自己判断での「市販薬」は悪化の元!
かゆいからと市販の湿疹・かゆみ止め薬(ステロイド配合)を安易に塗ることは非常に危険です。
原因がカンジダや白癬菌(カビ)の場合、ステロイドを塗ると局所の免疫が低下し、カビを爆発的に大増殖させてかえって悪化させてしまいます。
自己判断で使用せず、顕微鏡でカビの有無を調べる「真菌検査」を正しく受けることが、早期完治への唯一の近道です。
お尻が痒い時は「肛門科」と「皮膚科」どちらを受診すべき?
実際にかゆみがあるとき、どちらの診療科を選べばよいのでしょうか。以下の受診基準を参考にしてください。
【肛門科】の受診が適しているケース
かゆみの背景に、肛門自体の病気(痔)が潜んでいる可能性が高い場合です。
■排便時に出血がある(便器に真っ赤な血が落ちる、ペーパーにつく)
■お尻に脱出物(いぼやしこり)がある、ぶら下がった違和感がある
■排便時にピリッとした強い痛みやしみる感じがある
これらは内痔核や切れ痔が疑われ、肛門科での専門治療と便通の同時改善が必要です。

【皮膚科】の受診が適しているケース
かゆみの原因が、純粋に皮膚の炎症やカビなど感染症にある可能性が高い場合です。
■痛みや出血、脱出物などの「痔の症状」はない
■お尻や股間、太ももの内側に広範囲の赤み、ただれ、湿疹がある
■環状(輪っか状)の赤い発疹や白い粉状の付着物がある
■ウォシュレットの使いすぎ、拭きすぎに心当たりがある
皮膚科では、カビを特定する真菌検査や適切なスキンケア指導、抗真菌薬の処方を受けられます。
お尻の健康を守るために
お尻のかゆみは放置や掻きむしりにより慢性化し、ますます治りにくくなる悪循環に陥りやすいデリケートな問題です。
切れ痔などが原因なら、傷の治療と同時に「便通の改善(十分な水分・食物繊維、排便習慣)」を進めることが再発予防の鍵です。
「この程度で肛門科を受診していいの?」と迷う方も多いですが、症状を放置すると慢性化・悪化することがあります。お尻のかゆみや痛み、出血、腫れ、できものなどが続く場合は、早めに肛門科へご相談ください。
尼崎市塚口のにしおか内科クリニックではプライバシーにも配慮し、痔の治療から日常のお尻のケアまで、患者さん一人ひとりに合わせて診療しています。

にしおか内科クリニック
院長 西岡 清訓
(にしおか きよのり)
- (元)日本呼吸器外科学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
- 日本外科学会専門医
- 麻酔科標榜医・がん治療認定医