その「呼吸が浅い」感覚、気のせいだと決めつけていませんか?
普段の生活の中で、こんな息苦しさを感じたことはないでしょうか。
- 深く息を吸いたいのに、途中で止まってしまう感じがする
- 呼吸を意識すればするほど、うまく吸えなくなる
- 胸のあたりが詰まったような圧迫感がある
- ちょっとした動作で息が上がり、以前より疲れやすい
このような「呼吸が浅い」という自覚症状は、日常的なストレスや疲労だけが原因とは限りません。呼吸器内科の観点からみると、肺や気道に何らかの異常が生じているサインである可能性があります。
「そのうち治るだろう」と放置してしまう前に、呼吸が浅くなる本当の原因について知っておくことが大切です。
呼吸が浅いとはどういう状態か? ― 呼吸器内科からの視点
「呼吸が浅い」とは、医学的には1回の呼吸で肺に入る空気の量(換気量)が十分でない状態を意味します。換気量が減ると、体に必要な酸素を十分に取り込むことができず、同時に二酸化炭素の排出も滞りがちになります。
この状態が一時的なものであれば大きな心配はいりませんが、数日から数週間にわたって呼吸の浅さが続く場合には、肺や気道、さらには全身の健康に関わる疾患が背景に潜んでいることがあります。
呼吸が浅くなる原因 ― 呼吸器内科で考える代表的な疾患
呼吸の浅さを訴えて受診される患者さまの背景には、以下のような呼吸器疾患が見つかることがあります。
気管支喘息 ― 典型的な喘鳴がなくても要注意
気管支喘息は、気道の慢性的な炎症によって空気の通り道が狭くなる病気です。「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が有名ですが、実際には喘鳴を伴わず、呼吸の浅さや長引く咳、胸の違和感だけが症状として現れるタイプ(咳喘息など)も多く見られます。
「喘息は子どもの病気」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、成人になって初めて発症するケースも決して珍しくありません。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)― 喫煙歴がある方は特にご注意を
COPDは、長年の喫煙によって肺の組織が少しずつ壊されていく進行性の病気です。初期段階では「坂道や階段で息が切れやすくなった」「なんとなく呼吸が浅い気がする」という程度の症状にとどまるため、加齢のせいだと見過ごされてしまうケースが少なくありません。
日本では推定500万人以上がCOPDに罹患しているとされながら、実際に診断を受けている方はごく一部にとどまっています。過去に喫煙歴がある方で呼吸の浅さを感じている場合は、早めの検査をおすすめします。
肺炎・感染症後の呼吸機能低下
細菌やウイルスによる肺炎を発症した後、熱や咳などの急性症状が治まっても、**「呼吸が浅い」「息苦しさが残る」**という後遺症的な症状が続くことがあります。
近年では新型コロナウイルス感染症の後遺症として呼吸の違和感を訴える方が増えており、感染症後の肺機能の回復状況を呼吸器内科で確認することの重要性が高まっています。
間質性肺炎 ― 肺が硬くなり膨らみにくくなる
肺の「間質」と呼ばれる組織に炎症や線維化が生じる疾患です。進行すると肺そのものが硬くなってしまい、十分に膨らむことができなくなるため、呼吸が浅く感じられるようになります。乾いた咳を伴うことも特徴のひとつです。
気胸 ― 突然の胸痛と呼吸の浅さ
肺に穴が開いて空気が漏れ、肺がしぼんでしまう疾患です。突然の胸の痛みとともに呼吸が浅くなり、強い息苦しさを感じます。やせ型の若年男性に多い傾向がありますが、どの年齢・体型でも起こりえます。
胸水貯留 ― 肺の周囲に液体が溜まる
肺を包む胸膜のあいだに液体が溜まると、肺が外側から圧迫されて十分に広がれなくなり、呼吸の浅さや息切れを引き起こします。心不全や肺炎、悪性腫瘍などさまざまな病気が原因となるため、精密な検査が必要です。
過換気症候群 ― 検査で異常がなくても苦しい
精神的な不安や緊張がきっかけで呼吸のリズムが乱れ、速く浅い呼吸を繰り返してしまう状態です。体内の二酸化炭素が過剰に排出されることで、手足のしびれやめまいを伴うこともあります。
肺そのものに異常がないケースが多いですが、「異常なし」と判断するためには、まず呼吸器の疾患をきちんと除外することが欠かせません。
呼吸が浅い状態を放置するとどうなるのか
「呼吸が浅い」程度の症状であれば緊急性がないように思えるかもしれません。しかし、この状態が慢性的に続くと、体には着実に負担が蓄積されていきます。
酸素の取り込み量が慢性的に不足すると、日中の強い倦怠感や頭痛、集中力の低下が起こりやすくなります。脳や全身の細胞が必要とする酸素が行き届かないことで、「なんとなくだるい」「やる気が出ない」といった不調が長引く原因にもなります。
また、体が酸素不足を補おうとして心臓に過剰な負荷がかかり、動悸や血圧の変動を招くこともあります。さらに、末梢の血流が悪化すると手足の冷えやむくみにつながるなど、呼吸とは一見関係なさそうな症状を引き起こす場合もあります。
呼吸の浅さは、体が発している静かなSOSです。 症状が軽いうちに原因を調べておくことが、将来の健康を守る第一歩になります。
当院を受診される前に ― 整理しておきたいポイント
呼吸が浅いと感じて受診される際、以下の情報をあらかじめ整理していただくと、より正確な診断につながります。
- 症状の始まった時期:いつ頃から呼吸の浅さを感じ始めたか
- 症状が出やすい場面:安静時か、動いたときか、横になったときかなど
- 随伴症状の有無:咳、痰、胸痛、発熱、体重減少などがあるか
- 喫煙歴:現在吸っている方はもちろん、過去に喫煙していた方も重要です
- 既往歴:過去に呼吸器の病気やアレルギーを指摘されたことがあるか
- 最近の感染症:風邪や新型コロナウイルスなどに罹患していないか
当院では、問診に加えてCT検査・胸部レントゲン検査・血液検査などを必要に応じて実施し、呼吸が浅い原因を多角的に調べていきます。CTによる精密検査が院内で完結できる点は、当院の大きな特徴のひとつです。
日常で取り入れられる呼吸のセルフケア
呼吸器疾患の診断や治療とあわせて、日頃からご自身でできる呼吸ケアを習慣にしておくことも大切です。
① 鼻から吸って口からゆっくり吐く 鼻呼吸は、吸い込む空気に適度な湿度と温度を与え、肺への刺激を和らげてくれます。吐く時間を吸う時間より長めに意識すると、自然と呼吸が深まりやすくなります。
② 腹式呼吸を意識してみる 横隔膜を十分に使った呼吸は、1回あたりの換気量を増やすのに有効です。仰向けに寝た状態でお腹に手を置き、吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにへこむ感覚を確かめながら行ってみてください。
③ 長時間の同じ姿勢を避ける デスクワークやスマートフォンの長時間使用は、胸郭の動きを制限し、呼吸を浅くしやすくします。1時間に一度は立ち上がって胸を開くように大きく伸びをするだけでも効果があります。
④ 無理のない範囲で有酸素運動を続ける ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、肺活量の維持・向上に役立ちます。息が上がりすぎない程度のペースで、継続することがポイントです。
こんな方は、早めにご相談ください
以下のいずれかに当てはまる方は、呼吸器内科での検査をおすすめいたします。
- 呼吸が浅い、息苦しいという感覚が 2週間以上続いている
- 咳や痰が長引いている(特に2週間以上)
- 喫煙歴がある方(現在・過去を問わず)
- 風邪やコロナなどの 感染症の後から呼吸の調子が戻らない
- 少しの動作で 息切れ するようになった
- 胸の痛み や圧迫感を伴う
呼吸の違和感は、ご本人にしかわからない症状だからこそ、「こんなことで受診していいのだろうか」とためらう方も少なくありません。しかし、早い段階で原因を特定できれば、治療の選択肢も広がります。
呼吸の不安は、にしおか内科クリニックへご相談ください
当院は、尼崎市の阪急塚口駅北口から徒歩3分に位置する、呼吸器内科・消化器内科を中心としたクリニックです。院長は日本呼吸器外科学会専門医・日本外科学会指導医などの資格を有しており、長年にわたるがん治療の経験も含めた幅広い知見をもとに、呼吸に関するお悩みに対応いたします。
院内にCTを完備しているため、「呼吸が浅い」症状の原因を精密に調べる検査がワンストップで行えるのも当院の強みです。
呼吸の違和感は、決してあなたの気のせいではありません。 お一人で悩まず、まずはお気軽にご来院・お電話にてご相談ください。
地域の皆さまの健康を支えるかかりつけ医として、患者さまお一人おひとりのお悩みに丁寧に寄り添ってまいります。 引き続き、にしおか内科クリニックをどうぞよろしくお願いいたします。

にしおか内科クリニック
院長 西岡 清訓
(にしおか きよのり)
- (元)日本呼吸器外科学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
- 日本外科学会専門医
- 麻酔科標榜医・がん治療認定医