「排便すると血がつく」
「いぼのようなものが肛門から出てくる」
「出てきたものを指で押し戻している」
「痔の手術は痛そうで、できれば避けたい」
このような症状や悩みを抱えていませんか?
いぼ痔は、症状が軽いうちは軟膏や坐薬、生活習慣の改善などで様子を見ることができます。しかし、痔核が大きくなって脱出を繰り返すようになると、薬だけでは十分な改善が得られず、治療を検討する必要があります。
そのようないぼ痔(内痔核)の治療法の一つとして注目されているのが「ジオン注射療法(ALTA療法)」です。
ジオン注射療法は、痔核を切り取るのではなく、薬剤を注射することで痔核を縮小・固定させ、脱出や出血などの症状を改善する治療法です。
「できれば切る手術は受けたくない」という方にとって、治療の選択肢の一つとなります。
今回は、ジオン注射療法の仕組みや適応、メリット、治療後の注意点について詳しく解説します。
いぼ痔には「切る治療」以外の選択肢もあります
いぼ痔は医学的には「痔核」と呼ばれます。
痔核には、肛門の内側にできる「内痔核」と、肛門の外側にできる「外痔核」があります。
特に内痔核では、進行すると排便時の出血だけでなく、痔核が肛門の外に出てくる「脱出」が起こります。
内痔核の治療は、症状や進行度によって異なります。
軽症の場合には、便通を整えたり、軟膏や坐薬を使用したりする保存的治療が基本となります。
一方、排便時に痔核が脱出する、出血を繰り返す、指で押し戻さないと戻らないなど、症状が進行している場合には、処置や手術を検討します。
その選択肢の一つが、ジオン注射療法(ALTA療法)です。
いぼ痔の切らない治療、ジオン注射療法(ALTA療法)とは?
ジオン注射療法は、内痔核に「ジオン」という薬剤を注射する治療法です。
正式には「硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸注射液」を使用します。
痔核に薬剤を注射すると、痔核への血流が減少するとともに、組織に炎症・線維化が起こります。
その結果、痔核が徐々に縮小するとともに、周囲の組織に固定され、脱出や出血といった症状の改善が期待できます。
最大の特徴は、痔核そのものを切り取らないことです。
「痔の手術=切除する」というイメージを持っている方も多いと思いますが、ジオン注射療法では、適応となる内痔核に対して注射による治療を行います。
ジオン注射はどのようないぼ痔に適している?
ジオン注射療法は、すべてのいぼ痔に行えるわけではありません。
一般的には、排便時に脱出するⅡ度、指で押し戻す必要があるⅢ度の内痔核などが治療の対象となります。
Ⅰ度
出血などはあるものの、痔核の脱出がない状態。
まずは排便習慣の改善や軟膏・坐薬などの保存的治療を行います。
Ⅱ度
排便時に痔核が脱出するものの、排便後には自然に戻る状態。
症状や痔核の状態によっては、ジオン注射療法が治療の選択肢となります。
Ⅲ度
排便時に痔核が脱出し、自然には戻らず、指で押し戻す必要がある状態。
ジオン注射療法の適応となることがありますが、痔核の状態によっては手術が適している場合もあります。
Ⅳ度
常に痔核が脱出しており、指で押し戻しても戻らない状態。
ジオン注射だけでは十分な治療効果が期待できない場合があり、手術など別の治療を検討します。
このように、「いぼ痔ならジオン注射」というわけではなく、実際に診察して痔核の状態を確認することが重要です。

ジオン注射療法のメリット
ジオン注射療法には、従来の切除手術とは異なるさまざまなメリットがあります。
1.痔核を切除しない
ジオン注射療法では、痔核を切り取るのではなく、薬剤を注射して縮小・固定させます。
そのため、切除手術に抵抗がある方にとって、検討しやすい治療法の一つです。
2.術後の痛みを抑えやすい
内痔核ができる肛門の内側は、皮膚の部分と比較して痛みを感じる神経が少ない部位です。
そのため、適切な部位に注射を行うジオン注射療法では、切除手術と比較して術後の痛みが少ないことが期待できます。
ただし、痛みや違和感の程度には個人差があります。
3.日帰りでの治療を検討できる
ジオン注射療法は、施設によっては日帰りで実施されています。
入院期間をできるだけ短くしたい方や、仕事や家事、育児などの都合で長期間休むことが難しい方にとって、大きなメリットとなります。
4.出血や脱出の改善が期待できる
ジオン注射によって痔核を縮小・固定することで、排便時の出血や痔核の脱出といった症状の改善が期待できます。
ただし、痔核の大きさや数、状態によって治療効果は異なります。
ジオン注射療法はどのように行う?
ジオン注射療法では、痔核の状態を確認したうえで、専用の薬剤を痔核に注射します。
薬剤を適切な位置に注入するため、「四段階注射法」と呼ばれる方法が用いられます。
1つの痔核に対して複数の部位に分けて薬剤を注入することで、痔核を縮小させるとともに、周囲の組織に固定させていきます。
治療時間や麻酔方法、治療後の経過は医療機関や患者さんの状態によって異なります。
日帰りで治療できる場合でも、治療後は医師の指示に従って安静にし、出血や痛みなどの症状について経過を確認することが大切です。
いぼ痔を「できれば切りたくない」という方は一度ご相談ください
いぼ痔の治療というと、「手術で切られるのではないか」「痛みが強いのではないか」と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、現在では症状や痔核の状態に応じて、切除手術以外の治療法を選択できる場合があります。
その一つがジオン注射療法(ALTA療法)です。
特に、
- 排便時にいぼ痔が出てくる
- 出血を繰り返している
- 出てきたいぼ痔を指で押し戻している
- 痔の手術に抵抗がある
- できるだけ入院期間を短くしたい
- 仕事や家事を長期間休むのが難しい
という方は、ジオン注射療法が適応になるか、尼崎市のにしおか内科クリニックへ一度ご相談ください。
大切なのは、「ジオン注射を受けるかどうか」を最初から決めることではありません。
まず診察によって、現在の痔核がどの程度進行しているのか、ジオン注射が適しているのか、それとも別の治療が適しているのかを確認することです。
症状や生活スタイルも踏まえながら、自分に合った治療方法を検討することが、いぼ痔を無理なく治療していくための第一歩です。

にしおか内科クリニック
院長 西岡 清訓
(にしおか きよのり)
- (元)日本呼吸器外科学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
- 日本外科学会専門医
- 麻酔科標榜医・がん治療認定医